PEAK~部活動戦略~【練習試合】

合宿も最終日になり、練習試合が組まれていた。相手は同じ県のベスト4の近藤高校だ。
リクも控え組同士のクオーターで試合に出ることが出来たが、思っていたよりも良いプレーが出来た。相手も合宿中で、お互い疲労がピークに達している状態でキレがないという事実はあるにせよ、高校入学した当初に感じた強豪校の選手との絶望的な実力差というのは感じなくなっていた。リクは相変わらずカメラを持っている体育館の2階の隅の人間を見遣り、悔しいので心の中で感謝した。すると満面の笑みを返された。見透かされてる気がする・・・。
相手高校のレギュラーには1年生の長身センター勇(いさみ)ユウジがいた。質実剛健という言葉を擬人化したようなプレースタイルで、195cmながら横幅もあり、自チームのインサイドも対応に苦慮していた。リクの中学時代には聞いたことのない選手だった。どうやら他県からの推薦入学らしい。
クオーター制のレギュレーションの関係で、リクは勇ユウジと数分間だけ同時にコートに立った。プレーの流れ上数回マッチアップしたが、始めのハイ&ローポストの1on1ではパワーと高さで押され、手も足も出なかった。後半はHIITで鍛えたディナイで簡単にはプレーさせなかったが、今後自分よりフィジカルと高さで勝る相手への対応を考える必要があると感じた。
手応えを掴んだ合宿が終わり、帰りにロバートの家で反省会が始まった。
「どう、手応えは?」
「いい感じだよ。正直、成長してる実感が出てきた。」
「調子乗んな。」
「罵倒された!?」
「まあ、この調子で夏休みの終わりまではコンフォートゾーンから出る事を意識した練習を続けよう。そして2学期に入るわけだけど、次の段階に進むよ。」
「次の段階?」
「そう、心的イメージの構築だ。」
「・・・良いプレーイメージを作るってことか?」
「珍しいじゃん。」
「端折りやがった!」
「良いプレーをするためには、当然頭の中にそのイメージが出来てないと体は動かないからね。新人戦が始まるから、それに向けて改善していこう。」
「具体的にはどうすんだ?」
「練習後はこれまで続けてきたことを辞めたくないから、昼休みにYouTubeとか、僕が薦める動画を観よう。」
「え、昼休み・・・?」
「嫌なの?」
「いや・・・貴重な昼寝の時間が・・・。」
「授業中寝ればいいじゃん。」
「成績悪くなるだろーが!」
「既に悪いわ!!!」
「ええぇ・・・。」
「成績に関してはテスト前に僕がなんとかするから。」
「ロバートさま!」
「7万くらいでいいかな。」
「金取るんかい!」
「僕じゃないよ?渡す用。」
「先生に賄賂!?」
「国、数、物、化、英、歴、地の7教科で十分でしょ?」
「金額の整合性まで!?」
2学期に入り、昼休みの動画鑑賞が始まった。
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