物語 阿吽香 「好きな人が出来たの。」 席についてすぐに話を切り出す私を、彼は静かな目で見ていた。周りは騒がしくなく、かといって静寂でもない。緩やかな喧噪と、暖かなコーヒーの香りが周囲を満たしていた。 しばらく沈黙が続いていたが、この小さな喫茶店の唯一の... 2023.12.25 物語
物語 五蘊盛苦(ごうんじょうく) 酒が俺の救いだった。仕事の面接では落とされ続け、もう長らく無職のままだ。何も考えたくないからテレビばかり見ている。流しっぱなし。頭には入っていない。何も考えられない。 酒を飲んでテレビを観る。頭が回らず、自分が無くなる、無になる。至福の時間... 2022.12.24 物語