PEAK~部活動戦略~part9

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PEAK~部活動戦略~【心的イメージ】

PEAK~部活動戦略~part9

ロバートがお勧めしてくる動画は、確かに参考になった。単純な個人プレーから戦術的なパス回しまで、多種多様なプレーモデルを参照することができた。なによりそういった動画を観るのは面白いし楽しかったので、自然と授業中にプレーを想像を膨らませて妄想し、悦に入っていた。いや、授業は聞いてましたよ?全部じゃないけど・・・。そんな時はたいていロバートからのニヤついた視線を感じていたが、無視することにした。

確かにNBAやBリーグのプレーを見ていると、レベル的には桁違いだが、自らの中に明確なプレーの参考資料とも言うべき選択肢が蓄積していくのが分かる。これが自分で経験していないプレーでも、そのイメージを取り込むことが出来れば、それは自分がプレーしたことと脳内ではほぼ同義になる。あとはそれをアウトプット、実際におこなってみるだけだ。

「良い選手ってどんな選手だと思う?」

ロバートが唐突に聞いてきた。リクは答えに窮したが、現在進行形で実践している「心的イメージ」の構築がすぐに回答の一つへと至らせた。

「・・・たくさんのプレー選択肢を持っていて・・・その中でも良いカンジのものを選べること・・・?」

「ふむ。まあまあだな。」

「何様!?」

「もちろん色んな条件があると思うけど、その中の一つがリクの今言ったことだね。いわゆる『プレーメモリー』の多さだよ。そしてより良い選択を選び取る『判断力』。心的イメージをたくさん構築しはじめてる今なら分かるでしょ?」

「ああ。練習でも選択肢があると焦らなくて済むからな。で、余裕が生まれて周りも見えてくるから更に選択肢も広がる。」

「本来の心的イメージはプレー精度を良くするのが主眼で、選択肢は副次的効能なんだけどね。リクの場合は判断力もクソだったから、そっちも効果大だったんだね。」

「いま人の判断力を排泄物よばわりしましたよねえ!?ねえ!?」

ウインターカップが近づくにつれて動画鑑賞を使った心的イメージが効果を発揮し始め、リクは試合形式の練習では、ついに控え組のメンバーに入ることも出てきた。本当に嬉しかったのだが、同時に1つ悩みができた。ポジションについてだ。

確かに実力はついてきた。が、自分のプレーに特徴というか個性がなかった。身長は少しずつ伸びていて176cm、オールラウンダーと言えば聞こえはいいが、レギュラーになるには実力が足りていない。加えて特徴もないとなれば、監督は使いづらいだろう。今使われているポジションはセカンドガードだ。

だが、リクは日々のやるべきタスクで精いっぱいで、その悩みを深く考えることなくウインターカップが開幕した。土方高校は順調に勝ち進んだが、ベスト4を掛けた準々決勝、3年生がスタメンに残る私立の強豪校と当たり、まさかの敗戦を喫してしまった。結果はベスト8止まり。リク自身も初戦で数分交代で出場しただけで、他の試合はベンチでの応援に終始した。

当然監督は怒り心頭で、チームは沈んだ雰囲気だ。だが、リクは確定している来週からの鬼錬に不安を覚えながらも、次の1年生大会に向けてスタメンを取るべく、試合後ロバートに相談を持ち掛けた。

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